松枯れの現状と対策

松くい虫の被害は昭和40年代後半から急増し昭和54年にピークを迎え減少傾向にあります。しかし森林病害はコントロールが難しく、松枯れ病がなくならないのは、阻止する事が極めて難しい外来の伝染病だからです。社会の誤解があり、伝染病という認識がなく松枯れを甘く見ています。防除の戦略、戦術が間違っていることもあります。
まずは世間一般的に広く松枯れ病を正しく理解してもらう事が大切です。

なぜ森林病害虫防除対策を行っているのか

森林の持つ働き=公益的機能
大気保全機能 地球温暖化防止に重要な役割
水源涵養機能 水の浄化 洪水、渇水の緩和
土砂流出・崩壊防止機能
保健休養機能 リラックス効果 森林セラピーなど
野生鳥獣保護 森林が生息場所 生物の多様性を保全

森林の荒廃=公益的機能の低下
放置人工林 森林病害虫害(ナラ枯れ) 災害 森林病害虫害(松枯れ)

森林を守り再生する
産業で再生→林業で再生→資源循環型林業の構築 (森林バイオマス)
公的に守る→災害から守る→山地災害・土砂災害対策 保安林制度
      獣・虫から守る→獣害対策 森林病害虫対策
      開発から守る→林地開発許可制度 保安林制度 

マツノザイセンチュウの伝染の仕方と対策

1、カミキリ羽化脱出(6月頃)センチュウを身体に持って羽化・脱出
2、センチュウの侵入(6~7月頃)小枝の樹皮をかじりセンチュウが松に侵入
3、センチュウの繁殖(7~9月頃)松のなかで急激に増え続け松を弱らせる
4、産卵と松枯れ(8~10月頃)樹皮をかみ、傷をつけ卵を産みつける
5、材内で幼虫越冬(10~5月頃)卵から羽化したカミキリの幼虫が柔らかい樹皮を食べて成長し、材に深い穴をあける

予防対策として薬剤散布(5~6月) 樹幹注入(11~2月)
駆除対策として伐倒駆除(9~5月)

薬剤散布の目的→センチュウを媒介するマツノマダラカミキリ成虫を防除
※当年枝と一年枝を摂食して侵入するため、樹冠部に薬剤をかける

樹幹注入の目的→センチュウの防除
※注入孔を空けるため傷がつく

伐倒駆除の目的→次世代の発生源を除去
※伐倒破砕、伐倒くん蒸により殺虫
樹齢10年ぐらいからザイセンチュウ病にかかりやすくなる
駆除率をあげるために枝の処理が必要
目安として
直径30㎝の丸太1㎥に500頭程度
直径5㎝の部分1㎥に約4000頭
直径2㎝の枝にも幼虫がいる

その他の対策 抵抗性マツの植栽 毎年度2万本

守るべき松林を維持していく為に防除対策を継続して実施している

弱っていたり、葉が変色している松を見たとき

ザイセンチュウ病か他の原因かによって対策と対応が異なる
ザイセンチュウ病の場合
助けることはできない→他の松への感染防止 カミキリムシの駆除、感染の予防

その他の原因の場合助けられることが多い
原因や症状に応じて対策を立てる

感染の診断方法
異常なし 樹脂がたまり時間が経つと流れ下がる
異常あり 部分的に粒出する程度 樹脂気がなく乾燥している

加西緑化では松枯れ病予防を行っています。
松保護士がきちんと予防、対策、対応させて頂きます。
気になることがあればご連絡下さい。